幸福のインフレの恐ろしさ

先進国で生きている人々にとって、生命維持レベルで衣食住の確保に苦しんでいる人というのは多くはないと思います。

充実したセーフティネット・教育制度によって、心身ともに健全で自立した個人として生きていくことが可能です。

このように動物として必要不可欠な衣食住が確保されてくると人間は更なる欲求の実現を目指してしまいます。

絶対的欲求を満たした後は承認や虚栄などの相対的欲求を満たすことに躍起になってしまい、それを実現させることが自己の成長に繋がるといった考えに陥ってしまう人も少なくありません。

言い換えれば生きている限り発生する欲求を満たすことを止めるのは不幸であり、成長が止まり衰退に繋がると考えてしまうのです。

しかし人間が満たすべき欲求というのは多くはありません。

あなたが欲求と考えてきたものは承認や虚栄といった相対的なものが大半であり、それらは実現すべき欲求ではありません。

他人が持っているものを持っていないからといってそれはあなたが劣っていることを意味することは絶対にありません。

最も重要なことはあなた自身が豊かな心を持った状態であるかどうかです。

絶対的欲求と相対的欲求を区別することが出来ず、これらの衝動を全て満たすまでは精神的充実は得られないといった考えに囚われてしまうことを幸福のインフレといいます。

この病に冒された人は辿り着けないのは勿論、存在すらしない幸福の境地を追い求めて身も心を滅んでいきます。

幸福のインフレに冒された人間は自分の中にある価値基準が他者や社会といった外部に移ってしまい、時と共に厳しくなる幸福の条件と肥大化していく欲求に板挟みにされ、本当の幸せに気付くことが出来ずに悲惨な末路を辿ることになるでしょう。

私たちを豊かにしてくれる欲求は身近なところにあります。

そうしたものに対する感謝を忘れず、自分が本当に欲しているものは何かを知ることが重要です。

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